第30話

メイトをベッドに寝かせたまま部屋を出るのは、カスピアンの胸に重しを乗せられたような気分だった。彼は出発する前に、最後にもう一度彼女の酔わせるような香りを深く吸い込んだ。

口を開けたまま外に立ち尽くす母親を置いて行くことで、彼は出発後も二十分間笑いが止まらなかった。

カスピアンは王国の視察が必要だった。ならず者たちの襲撃はますます頻繁になり、その攻撃もより大胆になっていた。彼を襲ったならず者たちは侵入口を探していたのだ。斥候だ。斥候がいるということは、もっと多くのならず者がいるということだ。カスピアンは狩りに出かけるつもりだった。そして彼が聞かされたこのドラクストンが、彼の標的だった。

彼...