第15話

アレクシアはその日の残りの間、集中することができなかった。彼女の頭の中はキャスピアンのことでいっぱいだった。彼の唇が自分の唇に触れた感覚が...

もう自分を抑えることができなかった。彼が欲しかった。必要だった。彼女は直接彼の書斎へ向かい、礼儀作法も忘れて秘書の前を通り過ぎ、まっすぐ中へ入った。しかし部屋は空っぽだった。彼女は見落としていないかと部屋を見渡した。

「彼はすでにパトロールに出かけましたよ」背後で声がした。振り向くとエンゾがいた。

「あぁ」それだけが彼女の返事だった。

「でも、彼が戻ったら、あなたに会えて喜ぶと思いますよ」エンゾは彼女にウィンクを送ってから、向きを変えて立ち去...