第109話

レセプションは客が各自の部屋を探して去ることで終わった。全員が散会した後も、エンゾは暖炉の前に立ったまま起きていた。

炎は時折はぜながら、安定した轟音を保っていた。時々新しい薪が加えられ、炎に新たな命を吹き込んでいた。大理石のマントルピースに施された彫刻は芸術作品だったが、それはどうでもよかった。

彼のシャツはボタンが外れ、ネクタイは乱れていた。彼はグラスを手に持ち、見つめながらも実際には見ていなかった。彼の目に映るのは彼女だけだった。

彼は王に王冠を届け、委託を受けた後、すぐにレセプションに向かった。ゲイブから隠れるゲームは、彼がもはや避けられないと知って入室した瞬間に終わった。

正...