第108話

カスピアンはウイスキーを一口飲みながら、周囲の男たちが互いに値踏みし合う様子を観察した。部屋に満ちるアルファのオーラは息苦しいほどだった。

「陛下」アルファのレノンは一礼して近づいてきた「素晴らしい夜会ですね、王妃様にお褒めの言葉を」

「伝えておこう」カスピアンは素っ気なく返した。このアルファが彼の機嫌を取ろうとしているだけだとわかっていた。

アルファ・レノンは彼より数歳年上で、裏切りの才能に長けていた。カスピアンは彼が何をたくらんでいるか見極めるために監視の目を向けさせていた。

エドマンドとルカはこのパックを訪れていなかったため、彼はアルファの忠誠心に疑いを持っていた。だから彼を宮殿...