第265話

ダリエンには理解できなかった。なぜアローラからの上げられた眉と、厳しい口調の「マジで?」という言葉が、まるでクッキーの瓶に手を突っ込んで捕まった子オオカミのような罪悪感を彼に抱かせるのか。もっとも、罪悪感を持つ理由は十分あったのだろう。彼はコンドームが何かを知っていたし、使うべきだったことも分かっていた。また、行為の前に相手が何らかの避妊をしているか尋ねることもできたはずだった。

しかし彼はそのどれも行わなかった。代わりに、本能的な欲求に身を任せ、そうした会話が交わされる前に行為を終え、互いにマークし合ってしまった。性行為をすれば、たとえ避妊をしていても妊娠の可能性は常にある。だが、彼のした...