第212話

レインはリリアンのソファの向かいに座り、深呼吸した。リリアンの部屋の香りがいつも大好きだった。シナモンとリンゴの香りが彼女を包み込み、疲れた神経を癒してくれる。

「はい、このお茶をどうぞ」リリアンは白い磁器のティーポットを手に取り、レインにお茶を注いだ。

レインはリリアンのティーセットが大好きで、とても美しいと思っていた。ティーポットには伝統的な日本庭園と蓮の池、咲き誇る桜の木が描かれていた。

磁器のティーカップは開花しつつある蓮の花の形をしており、パステルカラーの紫と青で彩られていた。カップの内側の底には、本物の蓮の中心部のような模様が描かれていた。カップが置かれる受け皿は、蓮池に浮か...