第193章

「誰かに付いて行かせろと言ったんじゃないのか?」

中村政は慌てて説明した。

「付いていますよ。うちの者も飛び込みました。泳げる者が二人で下から支えていて、もう一人は人を呼びに行きました」

高橋隆一は人差し指と親指で鼻の付け根を押さえ、明らかに仕事どころではない様子だった。

「大丈夫なのか?」

彼がその言葉を発した時、ほとんど声が震えていた。

「大した問題はありません。少し水を吸い込んだかもしれませんが、命に別状はありません」

高橋隆一は手元の書類を放り出して慌てて立ち上がった。

「見舞いに行こう」

中村政は急いで前に走ってエレベーターのボタンを押した。車は病院に直行し、山本...