第192章

高橋隆一が会社で遅くまで忙しくしていると、お腹が空いたと感じた頃には、ビルの外にはネオンが輝いていた。

中村政が持ってきた夕食はテーブルの上ですっかり冷めていて、彼は食欲もなく、頭の中は混乱していた。

山本美咲からまた電話があり、ウェディングドレスを予約したから明日一緒に試着に行こうと言われたが、彼は何と答えていいか分からなかった。彼女が死ぬのも怖いし、生きているのも怖い。

彼女は死んでも生きていても、彼を苦しめるだけだった。

家の家政婦が奥様がずっと食事を待っていると言ったので、彼はようやく明かりを消し、車に乗って家路についた。

渡辺美代は朝から夕方まで同じ場...