第230章

周囲では、事を恐れず、むしろ騒動が少ないことを恐れるような若様令嬢たちが、笑いながら拍手を送っていた。

どうせ藤原家と小林家の内輪揉めだ。死人が出ようが何だろうが関係ない。彼女たちはただの観客なのだから!

見られる芝居があるなら見ないと損だ。見ないのは馬鹿げている。

「兄貴!」桜は素早く馬から降り、藤原司の腕を抱きかかえながら、心配そうに彼を見上げた。「何をするつもり?」

周りの人たちが何を言おうと何をしようと、藤原司はまったく動じなかった。

佐藤桜が駆けつけてきて初めて、彼は視線を分け与え、口元をゆるめて、だらけた調子で言った。「姪っ子の舌が人の言葉を話せない...