


第2章
高橋駿はまるで驚いたように、慌てて手を振って拒否した。「いやいや、藤原司、これは君の奥さんだよ。彼女に何か不倫なことを考えるなんて、ありえない!」
藤原司はシガーに火をつけ、画面に目を向けた。
画面の中の佐藤桜は、表情は重苦しいものの、それでも美しく、まるで天使のようだった。
ほとんどの男は彼女を見たら、彼女を好きになる。
しかし、藤原司は例外だった。彼は佐藤桜をどうしても好きになれなかった。
藤原司は藤原家の若様で、今年二十五歳。本来なら藤原家の権力者となり、巨大なビジネス帝国を手にするはずだった。しかし、十年前に誰かに謀られ、病弱だという噂を流され、藤原家での権力を徐々に失っていった。
だが、藤原司は気にしなかった。彼には自分の勢力があったからだ。
十五歳の時に謀られて以来、藤原司は密かに自分の勢力を育て始めた。
わずか十年で、彼が創立したRK会社は急速に成長し、世界でトップの超大型企業となったのだ。
そして高橋駿は、藤原司の部下であり、RK会社のエンターテインメント部門を担当していた。
藤原司は公開の場に一度も姿を現したことがないため、外部の人は藤原司がRK会社の社長であることを知らなかった。
藤原家の人でさえも知らなかったのだ。
誰も、神秘的なRK会社の社長は、噂される醜くて病弱な怪人なんで誰も思わなかった。
藤原司は本当は結婚したくなかったが、おばあさんがどうしても結婚を強要した。
おばあさんの願いを叶えるために、藤原司は仕方なくて、おばあさんの言う通りにし、佐藤家の娘と結婚した。
しかし、最も悩むのは、おばあさんが結婚だけでなく、一年以内に子供を作ることを要求してきたことだ。
藤原司は非常に困っている。好きじゃない女性と結婚するだけでも嫌なのに、その女性と子供を作るなんて?
無理だ!
絶対に無理!!
藤原司にとって、佐藤桜という女性はおばあさんが送り込んだ誘惑者であり、目的は自分と子供を作ることだった。
だからこそ、藤原司は佐藤桜を嫌っており、結婚式にも出席しなかった。
藤原司はますます腹が立ち、直接言った。「ライブを切れ、もう見たくない!」
隣にいた高橋駿はライブを切り、好奇心いっぱいに尋ねた。「藤原司、君がその女性を嫌っているなら、なぜ彼女と結婚したんだ?」
「僕の知る限り、その女性は佐藤家の私生児で、君のバカ甥っ子小林隼人の元カノだ。君が彼女と結婚したら、きっと笑われるぞ」
藤原司は何も言わず、ただ頭を揉み、非常に悩んでいる様子だった。
藤原司がそんなに悩んでいるのを見て、高橋駿は隣のセクシーな女性に目配せをした。
セクシーな女性はすぐに高橋駿の意図を理解し、立ち上がって白くて長い美脚を見せ、セクシーなヒップを揺らしながら藤原司に近づいた。
セクシーな女性は藤原司のそばに来て、非常に誘惑的な声で言った。
「兄さん、リラックスさせてあげましょうか?口でしてあげてもいいし、あなたが望むどんなサービスでも提供できますよ……」
セクシーな女性が言い終わる前に、藤原司は彼女を睨みつけ、厳しく言った。
「出て行け!」
セクシーな女性は驚いてその場に倒れ込み、藤原司に近づくことができなかった。
藤原司のオーラはあまりにも強烈で、彼女は藤原司に一歩でも近づけば、首を絞められて投げ飛ばされるのではないかと恐れた。
その光景を見て、今まで黙っていた三人目の男が笑いながら口を開いた。「高橋駿、君は藤原司のことを全然わかっていないな。藤原司は君とは違って、女性と乱れた関係を持つことはないし、ましてや簡単に女性とそんなことをするなんてありえない!」
話していた男の名前は中村安(なかむら やすし)で、藤原司と高橋駿の友人だった。
中村安もまたハンサムだったが、藤原司の冷酷で威圧的な雰囲気と違って、彼はより優雅な印象を与えた。
高橋駿は中村安を一瞥し、「中村安、君は一度も女性とやったことがないんだろう?何がわかるんだ!セックスは最高だよ。一度体験したら、もうやめられないんだ!」
中村安は反論した。「君みたいに、いろんな出所不明の女性とやっていたら、いつか何か問題が出るかもしれない!」
高橋駿は不機嫌そうに言った。「私を呪っているの?」
高橋駿と中村安は一言一言、口論を始めた。
藤原司はその光景を見て、笑いながら頭を振った。
高橋駿と中村安はよく口論するが、それはまるで仲の良い喧嘩友達のようで、藤原司はもう慣れていた。